忍び寄る外来種 身近に迫る農業への脅威達
身近な侵略者と影響力
夏から秋にかけて、田んぼや河川敷、小川で耳を澄まして聞いてみると「リンリン」「ギーギー」「ケッケッケッ」いろんな種類の音が聞こえてきます。
その中に「グゴォーグゴォー」という重低音の鳴き声が混じっていたら、外来種が近くで繁殖している可能性があります。
その鳴き声の主は「ウシガエル」。体長が11から18センチにもなる大型のカエルで、河川や湖沼の生態系に大きな影響を及ぼす特定外来生物です。
外来種としてよく知られる「オオクチバス(ブラックバス)」や「ブルーギル」「アライグマ」「ヌートリア」なども、同様に特定外来生物に指定されています。
特定外来生物とは、海外から日本に導入された外来種のうち、生態系や人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼす、またはその恐れがあるものを指します。
この指定を受けると、飼育・栽培・輸入・譲渡・放出(逃がすこと)が法律により禁止されます。
子供たちが川遊びでよく捕まえる「アメリカザリガニ」も、特定外来生物に追加されました。
つまり、子どもが捕まえてきたアメリカザリガニやミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)を逃がすことも違法となります。
捕まえたものは、安易に逃さないように気をつけなければなりません。
出典:環境省ホームページ
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/regulation/jokentsuki.html
特定外来生物による農業被害
これら外来生物は、米農家にとっても目の上のたんこぶ。
「アメリカザリガニ」は、水田の苗を切ってしまったり、畔(あぜ)に巣をつくって貫通させ、水を抜いてしまったりと、数が増えると深刻な被害をもたらします。
「ヌートリア」に至っては、畔だけでなく堤防にも巣穴を掘り、構造を弱め、崩壊の原因となることがあります。
水田以外でも「アライグマ」や関東で急速に数を増やしている「キョン」など、農産物への被害が後を絶ちません。
被害があっても「特定」指定じゃない生物
こうした特定外来生物に指定されている種は、外来種全体のごく一部に限られます。
しかし、指定されていないからといって、他の外来生物から被害がないわけでありません。
指定外の外来種において、水田で特を猛威を振るっているのは、「スクミリンゴガイ」(通称:ジャンボタニシ)ではないでしょうか。
南米原産の巻貝、成長すると5から8センチまで成長します。
日本には、食用として輸入され養殖を試みましたが、日本人の好みにはあわず商業化しなかったようです。
この貝は雑食性ですが、植物食性が強く柔らかいものを好みます。
田植え直後の苗を食べてしまうのは有名ですが、れんこんやミズイモの若芽も食害にあっています。
日本のヒメタニシやマルタニシは、卵胎生。体内で卵を孵化させ、一度に30匹ほど稚貝を産みます。
タニシとは遠縁種であるスクミリンゴガイは卵生で、神経毒を持つピンク色の卵を作物の茎や用水路の壁に一度に200から300個産み付けます。
この卵を守る神経毒と卵の数から爆発的に増殖し広範囲に分布してしまいました。
国際自然連合IUCNが作成している世界の侵略的外来種ワースト100にもリストアップされ、「生態系被害防止外来種リスト」「重点対策外来種」にも選定されていますが、罰則のある特定外来生物には含まれていないのが現状です。
寒さに弱く氷点下が続くと死滅していましたが、近年の温暖化や暖冬により冬を越す個体が増えてきています。
現在の生息域である九州、四国、本州の太平洋側からの分布拡大が警戒されています。福井県では、発生は確認されていませんが、発見例があり、一層<の注意が必要です。
外来種は外国だけじゃない
外来種の話題では、海外から来た種のみが悪いと語られがちですが、生態系、生物多様化という観点では、国内外来種の存在も無視できません。
例えば、観賞魚のメダカが増えすぎたので、日本の魚だからと逃がしてしまう。
こういった行為は、その土地に存在しなかった種や遺伝子、病気、菌を持ち込んでしまうリスクを多分に含んでいます。
これはふとした瞬間、善意から行われる事もあり「地域活性や自然再生での魚の放流、他県で採取した草花や生き物を自然に返す」すべて国内外来種に該当します。
では、採取した同じ場所に返すのはどうでしょう。
飼育、観察する際に自然界と同じ環境、餌で育てていることはないでしょう。
人間の住処と森や川では、住む菌も違います。
虫も魚も植物も等しく、一度手を出したのであれば、最後まで命の責任を持つ。
それが最低限のマナーといえるのではないでしょうか。







