無農薬?玄米を購入する時の注意点
玄米について調べると、さまざまな情報が次々と出てきますよね。
「健康に良い」「栄養価が高い」「ダイエットに効果的」
といったポジティブな情報が溢れていることは、
玄米を販売している私たちからすると、とても嬉しいことです!
しかし、農薬の残留や、消化に負担がかかる場合があること、適切な保存方法など、実は知っておくべき注意点もいくつか存在します。
玄米食を選択する際に何に気をつければ良いのか、一緒に考えてみませんか?
目次
「無農薬」の表記には注意!
【農薬を使っていないけど「無農薬」表記はNG!】
農業において、「農薬を使わない」という方針で栽培された作物は、
消費者にとって非常に魅力的に感じられるかもしれません。
しかし、その作物に対して「無農薬」という表記を使うことには注意が必要です。
「無農薬」とは、一般的に農薬を全く使用しないで作物が栽培されたことを示す表現です。
しかし、日本ではこのような表記に対して厳しい規制があります。
かつては「減農薬」や「無農薬」といった表示には明確な基準がなく、
例えば農薬の使用量を半分減らしても、1割減らしただけでも同じ「減農薬」とされ、
また育成期間中は無農薬でも、苗が農薬を使用して育てられている場合でも「無農薬」、
去年は使っていて今年は使っていないから「無農薬」と表示など、消費者にとって曖昧な状況がありました。
これを受けて、有機栽培やオーガニック栽培を登録認証機関を通じて検査し、
法的に「有機」や「オーガニック」表示の正確性を守る「有機JAS制度」、
一律の基準を定めたガイドラインを策定し、
無農薬から減農薬幅広く通常の半分以下の農薬や化学肥料で作られる農産物を「特別栽培農産物」と定義する
「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」などのルールが整備されました。
その結果、「無農薬」や「減農薬」、「オーガニック」といった表示での販売が禁止されています。
そのため、たとえ実際に農薬を使用していないとしても、法的には「無農薬」という表現を自由に使うことはできません。
誤解を招かないためにも、作物の栽培方法や使用している資材に関して正確で透明な情報を提供し、適切な認証を受けることが重要です。
無農薬にこだわる生産者や消費者が多い一方で、
法律上のルールを守ることが信頼につながるため、表示の際には慎重さが求められます。
出典:農林水産省Webサイト( https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/tokusai_a.html
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【残留農薬について】
農薬は病気や害虫の為と思われていますが、除草に一番必要とされています。
他にも品質向上、逆に成長抑制(稲を倒れにくくする)などに使われます。
使える回数や時期なども制限があり、除草に使っても虫の駆除に使っても、品質向上に使っても、一回は一回。
なおかつ、1成分につき1回となります。また、農薬だけではなく化学肥料を使っても1成分につき1回となります。
こういった除草剤や殺菌剤、駆虫薬は、色んな種類の草や菌、虫に対処しなければいけません。
ご家庭で除草剤を使ったことある方は分かると思いますが、1つの成分を使ってもその成分が効かない雑草にはなんの意味もありません。
駆虫薬もそうです。ホームセンターに行けば、蚊用やゴキブリ用、蛾用にアリ用と様々な用途の薬剤がありますよね。
それはどれかに効いたところで他には効かないからです。
なので、「◯◯を作るのに〇〇回農薬を使う」という回数が実は、初期の除草と作物の病気を防ぐ除菌と栄養を足す肥料だったりします。
その農薬は、日光や水、植物の新人代謝などで分解されますが、少しだけ残ることがあります。
これを「残留農薬」と呼びます。
日本では、消費者の健康を守り農産物の安全性を確保するため、残留農薬の量については厳しい基準が定められています。
この基準を超えた作物は売ることができないので、私たちが普段食べているものは安全だと言えます。
農家さんが農薬を使用する際は、決められた方法、決められた量で使うことが求められています。
こうすることで、私たちが食べる作物に残る農薬が基準内に収まるようにしています。
「残留農薬」と聞くと少し心配になるかもしれませんが、ルールを守って作られた作物は健康に影響がないとされています。
もし、農薬をできるだけ避けたいという場合は、オーガニックや特別栽培農産物など、農薬の使用が少ないものを選ぶこともできます。
農薬を使わないで育てた作物でも残留農薬が見つかることがあります。
それは、いくつかの理由によるものです。
まず一つ目は、風や水の影響です。
近くの畑で農薬が使われていると、その農薬が風に乗って飛んできたり、
農薬を含んだ水が流れてきて、畑の作物に付いてしまうことがあります。
田舎ではお馴染みの風景ですが、農薬散布にラジコンヘリ(軽トラの荷大サイズ)やドローンを使います。
ヘリコプターが田んぼの上空を飛びながら農薬を散布している場面を想像してください。
この農薬は上空から田んぼだけにまっすぐ降り注ぐのでしょうか?
もちろん、風に乗って隣の田んぼや畑にまで飛び散ることもあるでしょう。
そもそも隣の田んぼとの間はあぜ道一本、狭い車も通れないような道一本、用水路一本だったりします。
二つ目は、田んぼの水路です。
田んぼは水路でつながっています。
田んぼ一つ一つが川から専用のお水を引いてきたり、湧き水が湧いていたりするわけではありません。
みんな寄り添いながら同じ水路を使って育てているんです。
当然つながっていれば、農薬が水と共に流れるリスクがありますし、田んぼの横にある水路なので、散布された農薬が降ってくれば水路にも入ります。
水を引き入れたり排出したりする際、無農薬の田んぼに流れ込む事もあります。
こういったものを「ドリフト」と呼びます。このような農薬の拡散は、予期せぬ場所での残留を招くことがあります。
このように、農薬を使わなくても、ドリフトなどの影響で残留農薬が出てしまうことがあるのです。
【正しい「無農薬」を知ろう!】
日本で販売されている「無農薬」とされる玄米の多くは、「田んぼや稲の栽培中に農薬を使っていない」ことを意味している場合がほとんどです。
このような場合「無農薬」と表記するのではなく、「栽培期間中:農薬不使用」とするのが適切だとされています。
そもそも、「無農薬」ではなく、「有機農産物」もしくは「特別栽培農産物」として販売するべき農産物です。
だからといって誰もが「有機農産物」や「特別栽培農産物」として販売できるわけではありません。ちゃんとしたルールや法律が存在します。
「有機」や「オーガニック」を使いたい場合は、「有機JAS制度」の認証が必要です。
この制度は「JAS法」として定められていますので、認証無しに「有機」や「オーガニック」を使用すると罰則もあります。
この法律は、輸入食品などにも適用されています。
輸入した商品に「organic〇〇」などの表記があった場合でも日本の法律に照らし合わせて検査する必要もありますし、事業者も輸入に対する有機JASを取得する必要があります。
ちなみに、「有機JAS」の農家さんから購入したお米を小分けして出荷する時は、「有機」では無くなっています。
なぜなら、「小分け業者」用に別で認証を取る必要があるからです。
小分けしてる時に別のお米と混ざってしまったり、悪意をもっての混入などを出来ないようにしているのです。
なので個人輸入したり、袋つめして販売する際には、「分かりやすいから」「有機やオーガニックとして売ってたから」といって表示するのは法律違反なので注意しましょう。
一方「特別栽培農産物」とは、農林水産省が定めた「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」の基準に従って栽培され、都道府県から認証を受けたもののことを指します。
その地域で行われている栽培方法で使われている農薬や化学肥料の半分以下で作られた農産物の事を指します。
もちろん、この「半分」という量は、感覚や経験で各農家さんが決めているのではなく都道府県毎に決められています。
「慣行農法 都道府県名」や「特別栽培 農薬 都道府県名」などで検索すると都道府県のHPで公開されているので気になる方はチェックしてみてください。
表記にも細かい規定があるため「無農薬」と呼ばれるよりもかえって分かりづらいと感じるかもしれません。
しかし、様々な生産者や販売店が、それぞれ独自の基準やルールで「無農薬」や「有機」といった表記をしてしまうと、消費者の誤解を招く可能性があり、結果として農業全体への信頼を損なう恐れもあります。
玄米の良さを正しく伝えるためには、生産者や販売者が表示に関するルールを守ることが大切です。
マイセンでも、これらのルールに従った表示を心がけています。
出典:「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(農林水産省)( https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdf
)
農林水産省Webサイト( https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
)
誰でも食べて良いわけではない!
玄米は健康に良いとされていますが、消化に時間がかかりやすく、体質や健康状態によっては、逆に体に負担をかけてしまうこともあるのです。
玄米が持つ健康効果を知っている方も多いかと思いますが、その一方で、食べ方には注意が必要です。
【どういう人には向いてないの?】
小さな子どもや高齢者のような胃腸の働きが弱い人や、胃もたれしやすい人は、玄米を食べることで消化不良や腹痛を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
玄米に含まれる豊富な食物繊維は、腸内環境を整え、便通を改善する効果があります。
また、消化スピードが遅いため、食後の血糖値の急上昇を抑える効果があり、これがGI値の低さにもつながっています。
さらに、玄米はビタミンB群やミネラル、抗酸化物質も多く含んでおり、体の代謝をサポートし、免疫力を高める効果が期待されます。
適量を守りながら、体調に合わせて玄米を取り入れることで、よりバランスの取れた健康的な食生活を実現できるでしょう。
消化に不安がある場合は、柔らかく炊く、よく噛む、少量ずつ食べるといった工夫も効果的です。