仙夜一夜物語

第76回「甲田光雄先生のこと(2)」

 いろいろな食事療法や考え方を学んだ中で、一番私が腑に落ちたのが、「ナチュラル・ハイジーン」でした。ナチュラルハイジーンとは、わかりやすく訳せば「自然健康法」といったところでしょうか。その内容は、人間の体に、健康のために必要な条件を与え、傷つけるものを与えないことによって、体内外の衛生を保つというものです。ここで言われている「必要な条件」とは、新鮮な空気と水、体の生理機能構造上ふさわしい食事、十分な睡眠や休養、適度な運動、日光、ストレスマネージメントです。
 ナチュラルハイジーンで特徴的なのが、その食事法です。これまで日本に生きてきた私たちは、一日三食しっかりとる。蛋白質、炭水化物、脂質の三大栄養素をとる。いろいろなの種類の食品をバランス良くとる。ということを聞かされてきました。しかしナチュラルハイジーンでは、午前中は果物のみを食べ、生野菜を中心の食事にする、動物性蛋白質は控える、精製加工食品は食べるべきではない とされています。
 35年程前の米国マクガバンレポートでは、アメリカ人の食生活を、「諸々の慢性病は肉食中心の誤った食生活がもたらした食原病であり、薬では治らない」とし、大量の脂肪、砂糖、食塩が、心臓病、がん、脳卒中など、命を奪う病気に直結していることを指摘しました。これは病気が菌によってだけ起きるのではなく、食事や栄養の摂り方の歪みによって起きることを公の場で明らかにした初めての文章といわれています。これ以降、アメリカでは食事を通じて病気を予防する研究や取り組みが盛んになっていきます。しかし、日本においては未だに治療の中心は医者であり、食ではありません。薬万能主義が闊歩していて、その結果は国民医療費の増大です。
 "You are what you eat "の意味するところをひとりでも多くの人が理解し、健康な毎日を過ごされることを願ってやみません。

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