仙夜一夜物語

第73回「玄米加工食品の開発(1)」

 マイセンが本格的に発売した玄米加工食品が「玄米あずき粥」であることは前回までに申し上げた通りです。紆余曲折があったものの、今でも根強く残っています。ただ、実を言うと、自分では自信作だった「玄米とまとリゾット」が廃盤になったのは残念でした。自分ではかなり美味しいと思っていましたし、一部のお客さまの間、特に女性のお客様には好評でしたがお取扱店のバイヤー男性陣には理解されずやむなく生産中止となりました。
 その後、私が執念を燃やして開発したのは「玄米珈琲」です。古来、黒焼きした玄米を漢方薬では「神のくれた玄(もと)」即ち「玄神」と呼ばれ、治療薬としても使用されていました。玄米を黒焼きにすることで極陽性となり、健康増進・免疫力の向上、腸内毒素の吸着作用、ミネラルの増加などの効果があるといわれています。そのほかにも黒焼きには未知の成分が含まれおり、それが有機的・複合的に組み合わさることで更に効果的に働いているともいわれています。
 現代の食は陰陽の世界で言えば、どうしても陰性に傾きがちです。つまり、身体を冷やす方、冷やす方へとなっています。ですから身体を温めるものが必要だと考えて、玄米珈琲(玄神)を開発しようと思い至った訳です。
 玄米珈琲も普通の珈琲豆同様に焙煎すればいいわけですが、その火加減が非常に難しくて、コーヒー焙煎の専門業者さんにお願いしてもなかなか思うような仕上りになりませんでした。深く煎り過ぎて炭状になってしまったり、焙煎度が浅くて味が出なかったり...。
自分でもフライパンの中に規定量を入れて、熱量計算をしながら焙煎の度合いを何種類もテストするのですが、最適温度がなかなか見つからないまま月日がどんどん過ぎて行きました。歯がゆさばかりが募り、いかんともしがたい状況が続くだけでした。
 こんなにも焙煎の世界が奥深いものかと驚いたものです。それはある意味、お茶の世界にも通じるような気がしました。煎茶にしても「蒸し」「揉み」「火入れ」と複雑な工程を経て美味しいお茶に仕上がります。どこか、こうした工程にヒントが有るのではないかとボンヤリと考えていた頃に、これまたご縁の神様のお導きがあったのです。

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