仙夜一夜物語

第65回「玄米食への道(7)」

 次に仙一が取り組んだのは、物理的な不安、つまり「マズイ」という感覚的な面を解消することだった。
 そもそも、玄米が美味しくないと感じる原因を考えてみた。 その理由は幾つかあった。
(一)玄米の中にモミガラが付いているものが混入している。
(二)熟していない青い玄米が混じっている。
(三)日本人が大好きな「モチモチ」感がない。
 主な理由を大別すると、以上の三点が挙げられた。これらの問題点を解決すれば、もっと美味しい玄米を食べていただけると言うわけだ。早速、その改善に取り組んだ。
 一番と二番の問題点は、玄米の精選・選別の仕組みを根本から変えた。田んぼで収穫されたお米は、マイセンではそのうま味を残すため自然乾燥されている。その後、モミすりという工程で表面のモミガラを取り除いているのだが、この段階でモミガラが付いたままのお米が残りやすいので、この工程を改善した。さらに、未熟な米をふるいにかけて分ける工程では、ふるいにかける網目を特大級にして、熟した大きな米粒だけを選別するように工夫した。
 米の選別は通常はこれで終わりであるが、さらに仙一は一台で一千万円もするような、光センサーによる米粒の選別機を二台も導入し、厳重にお米粒の精選を行った。このお陰で、マイセンの玄米の中に異物の混入は皆無となり、ツヤツヤのぷっくりと膨らんだ熟した玄米ばかりとなった。
 問題は三番目のモチモチ感である。これは、人の好みが千差万別であり、まさに感覚に負うところが大きいので難問であった。

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