仙夜一夜物語

第62回「玄米食への道(4)」

 ここまで玄米の素晴らしさを知ったからには、仙以知の性分として直ちに「玄米食」の実践あるのみであった。自宅では、ガス釜でご飯を炊いていたので、電気屋さんにすっ飛んでいって当時まだ珍しかった「玄米モード」のある電気炊飯器を買い込んだ。
 「さぁ、今日から玄米食を始めるぞ!」と宣言したものの、家族はビックリ。父親からは「そんなもん、食べられたもんじゃねえよ」などと言われる始末。とはいえ、とにかく食べてみないと始まらないということで、仙以知自らが炊飯の準備。白米の炊飯に関しては、美味しく食べるために研究を重ねてきた。その知識を応用して玄米ご飯を炊いてみた。

 生まれて初めて見る玄米ごはん・・・見た目は、英語で言うところの「ブラウンライス」という表現がピッタリ。まさに、薄い茶色で若いころ奈良県で食べていた茶飯を彷彿とさせ、良い感じだ。コメの味の大きな要因である香りは・・・白米よりも香りが強く、どことなく野趣味を感じる。次に、軟らかさ・・・プチプチした感じとモチモチした感じが入り混じる初めての食感。最後に肝心の味は・・・はっきり言って「うま~い!」米の甘みやコクがしっかりと感じられるしっかりした味!
 食べれば食べるほど、元気が湧いてくる感じがした。何よりも驚いたのが、翌朝の便通の良さである。快便そのものだった。お腹の中全体が洗われたような気がした。これこそ、本物の食品だと確信した。

 人に良いと書いて「食」。仙以知は、ただ人に良いだけでなく、食べてより一層健康になれるものこそが「食」だと常々考えていた。灯台下暗しで、玄米こそが自分が求めていた「食」だったのだ。日本人が先祖から受け継いだ贈り物そのものだと思った。

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