仙夜一夜物語

第60回「玄米食への道(2)」

 仙一のところへ玄米を買いにきた社長は、仙一が玄米を食べたことがないと言うと、笑いながら色々なことを教えてくれた。
 精白する前の玄米には栄養分がたくさんあること、精米することでそれらを全部捨ててしまうこと、玄米を主食とした食事療法で病気の治療に効果を挙げている例があること、精米で捨ててしまう部分に農薬が残りやすいので、玄米を食べるときには、より安全なお米を選ばなければいけないこと...。
 仙一が初めて聞くことばかりだった。
 病気になったら病院へ行って、悪いところを切ってもらったり、薬で治したりするものだと思い込んでいたし、不治の病と言われていたガンが手術もせずに食事で治るなどとは、まったく初耳だったのである。
 「世の中には自分の知らない世界がある...」
 そう思い始めると、いてもたってもいられない。
 すぐに、玄米食について調べ始めた。
 医食同源としての「食養」を提唱した石塚左玄先生は、なんと福井の出身で、栄養学がまだ学問として確立されていない時代に、食事の重要性を説いて「食育」を世に普及させようと努めた人であった。「マクロビオティック」も、石塚先生の考え方を基礎としている。
 偉大な先人が同郷の人だったということに運命的な縁を感じたし、書物を読めば読むほど、玄米食というものは、まったく理にかなっている。「生活習慣病」は、まさに生活習慣からくる病気で、悪いところを取り除いたとしても、生活習慣を改めない限り、また再発してしまうのだ。生活習慣とは、すなわち食である。
 玄米菜食を中心とした食事を「正食」と言う。「正しい食事」である。
日本人が白米を食べるようになったのは、ここ100年ほどで、一般庶民まで広まるようになったのは、さらに戦後のことである。古来より、日本人はずっと玄米を食べてきたのだ。
 中でも、仙一が感銘を受けた話が2つあった。(つづく)

バックナンバー