仙夜一夜物語

第31回「光合成細菌との出会い(3)」

 マイセンを立ち上げたばかりの時に、次々と仙一を襲った試練。農協のこと、大凶作のこと...、なんやかやで日本の農業の行く先に不安を感じていたところに、降って沸いたオーストラリアへの視察旅行だった。
 風土の違い、独特の農業スタイルなどからオーストラリアで農業をやるという夢は絶たれたが、後から思えば、この旅の最大の収穫は、光合成細菌の世界的権威、小林先生と出会えたことだった。
 行きの飛行機の中で、たまたま席が隣になった。長いフライト中に世間話をするうちに農業の話になり、そこで「光合成細菌」の話が出た。
 「答えを見つけたぞ!」
 ようやく「光合成細菌」というヒントらしきものにたどりついたが、それをどうやって形にすればよいのか、農業にどう利用するのか、暗中模索していた、まさにその時だった。そんな時に光合成細菌の専門家に出会えたことそのものが、正しい答えのように思えた。
 帰国してからすぐに先生に会いに行った。自宅まで訪ねていって、色々と教えてもらった。光合成細菌の種類、特性、農業への可能性...。
 それから、光合成細菌を実際に利用している人たちに追跡取材をした。
 その人たちの話を総合すると、光合成細菌を農業に使う上での最大のメリットは、「凶作に強い」。
 稲作は、天候や気温にとても左右されるが、天候や気温そのものを管理することはできない。ご注文して下さるお客様全てに1年間お米をお届けするためには、安定した収穫量を確保しなければならない。天候の影響を受けにくく、病気にも強い、そして化学肥料や農薬も使わなくてすむ...そんな都合のよい環境が、光合成細菌ならば実現できそうだ。
 今までも、色々な農業資材を試したし勧められたりもしたが、効果があるような気もするけれども、特に変わらない気もした...つまり、よくわからない、というのが実情だった。
 しかし、光合成細菌は違う。これだけ多くの支持者がいて、実際に使われている。
 「これは、マイセンが大きくなるためには絶対に必要だ!」
 そこから、光合成細菌への取り組みが始まった。

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