仙夜一夜物語

第28回「平成の米騒動(3)」

 警察を追い返し、これで一安心と思っていたある日、いつものように忙しく出荷の準備をしているところに電話がかかってきた。
 いつも集荷に来てくれる運送屋だった。
 「警察から連絡があって...」
 マイセンは違法に米を出荷してるから、それを運んだら運送屋も同罪だというのだ。
警察もそこまでするか...怒りも覚えたが、よほど必死なのだなとある種の同情も感じた。
 しかし、そうも言ってはおられない。当時の取引先は、ほとんどが県外の外食産業だ。
運送会社を使えないと彼らのところにお米を届けられない。レストランや食堂なのに米がない、などと、お客様に言い訳は通らない。
 「よし、自分で運んでやる!」
 レンタカーでトラックを借りてお米を積み込み、自分でハンドルを握って取引先へ向かう。
 途中の高速道路のジャンクションで検問を行っていた。何か事件でもあったかと減速すると、なんと積荷の検問を行っているという。
 米を運んでいる、というと警察がみんな集まってきた。
 積載量がどうの、速度がどうの...何かしら言いがかりをつけて、先へ行かせまいとするのだ。
 「自分で作った米を積んでドライブしてるだけや! どこが道交法違反や?」
 この米を待っている人がいて、これが届かないとみんなが困る。何も法に触れることはしていないんだ!
 そうやって警察を説得した。最後には警察も納得してくれたのか、「お気をつけて」と仙一を見送ってくれた。
 そんな騒動の中、政府が外国米の輸入を決定した。外国米は単品ではなかなか売れなかったので、国産米とセットで売られていた。ところが、消費者は、国産米だけ食べて外国米は捨ててしまう有様。ゴミステーションに捨てられている外国米の映像が、毎日のようにテレビで流れていた。
 「日本の未来はどうなるんだろう・・」
 実は、日本が外国米を輸入したことで、国際的に米の価格が跳ね上がっていた。そのせいで、今までその米を買っていた貧しい国までもが米を買えなくなってしまったのだ。
 マスコミは外国米が捨てられていることは報道しても、そんな国際事情は報道をしない。
 日本だけよければいいのか? 大国のエゴで弱いものイジメをした...それをなぜ報道しないのか。
 何を目指して米作りをしていくのか、マイセンがどうあるべきか...米騒動は、そんなことを考えさせられた契機の一つともなる出来事だった。

バックナンバー