私がこれまで行ってきた「玄米」の研究について、簡単にまとめてみました。
玄米について
(1)玄米食の歴史
日本人の主食は「米」と言われているが、正式には「玄米」であったといえる。江戸後期より一般庶民が白米を口にするようにはなったが、精米技術が未熟であったと考えられ、いわゆる分搗米に近かったと想像されます。
ようやく、戦後になって今のような真っ白なお米を食べるようになったわけです。と同時に食の欧米化と相まって、生活習慣病やアレルギー疾患などが急速に拡大したのは、「玄米離れ」に一因があるとも言えるのではないでしょうか?
(2)ベルツ博士の実験
ドイツの医学者ベルツ博士(1849-1913)は1876 年(明治 9)東京医学校教師として来日,1905 年帰国。その間日本に約30年滞在、近代医学の発展に貢献しまた。さらに、脚気の研究や温泉療法とともに草津温泉を広く紹介し、あかきれ、しもやけの薬"ベルツ水は今も市販されています。著書「ベルツの日記」に、当時の日本人の体力に驚いたとエピソードに書かれています。 ベルツ博士は、東京から110km離れた日光に旅することになり、馬を6回取り替え、14時間かけやっとたどり着きました。もうひとりの人は人力車を使って日光に行きました。馬と人力車はどちらが早く着いたと思いますか?人力車はなんと30分遅れるだけで、それも交代なしで日光に到着しているのです。
馬の力と書いて馬力です。馬力と言う言葉から精力、活力、体力をイメージします。また、スタミナの代名詞に使われているように馬の力の方が優っていると思いがちです。[参考 1 馬力とは、工業上用いられる仕事率の単位。国によって定義が異なり,日本では0.750kW(キロワット)を いう]
ベルツ博士は、人力車の車夫の食事を調べると、玄米のおにぎりと梅干し、味噌大根の千切りと沢庵だったのです。日常食も米・麦・粟・ジャガイモなどの低蛋白質、低脂肪の粗食でした。肉も食べずにこれだけの力が出ることに驚き、そこで、ドイツ栄養学を適用すればより一層の力が出るであろうと、ベルツ博士は食事の実験を行いました。
22歳と25歳の車夫を2人雇い、1人に玄米おにぎりの食事、他の1人に肉の食事摂らせ、80kgの荷物を積み、40km距離を走らせ、どちらが長く続けられるかを試したのです。結果を見ますと肉料理を加えた車夫には、疲労が甚だしく募り3日でダウンし、もとの食事にもどしました。では、おにぎりは3週間走り続けることが出来ました。肉の食事の車夫も、食べ物を元に戻すと元気に走れるようになったそうです。
この経験からベルツ博士は、帰国後ドイツ国民に玄米菜食を訴えたと言います。
(3)玄米食への潜在的ニーズ
玄米は完全栄養食と言われるほど、バランス良く人間が必要とする栄養成分・ビタミン・ミネラル等を含んでいるもの、その食感や戦前のイメージから、玄米を敬遠する消費者も多いのは事実。 一方、生活習慣病の改善やガンなどの療養食として、玄米が脚光を浴びている。
こうした事実を考えると、玄米の機能性食品としての優位性を認めつつも、もっと手軽に、簡単に、効率よく玄米を摂取することが現代人の潜在的ニーズとして想像できます。
(4)発酵技術
日本人は古来より乳酸発酵と酵母発酵の両者を上手に生かし、食品の保存や、食感改善しいていは機能性向上を図ってきました。
また、福井県では米を利用した伝統食品として「へしこ」があります、「へしこ」とは、魚のぬか漬けです。野菜のぬか漬けは一般的ですが、魚もぬか漬けすることで乳酸発酵と一部酵母発酵がおこり、より食味が向上し、保存性が高まり、健康成分も発生していると考えられています。
この、「へしこ」に端を発して、玄米そのものを乳酸発酵と酵母発酵することで、機能性の高い食品が出来ないかを模索するにいたったのです。単なる、酵母発酵であればいわゆる「日本酒」の一種になってしまうわけで、複数の乳酸菌と複数の酵母菌の共棲発酵の過程で生じる様々な有効成分を抽出することをテーマとした研究を開始したのです。
(5)酵母と乳酸菌と玄米
酵母は、真核細胞を持ち、その細胞内や細胞壁には実に有益な成分が含まれている。しかしながら、その細胞壁は非常に硬い。その中の機能性成分を、破壊することなく、幾種類も取り出すことが重要になる。また、乳酸菌が増殖の過程や、死滅後に産出する成分にも、人間の有用な腸内細菌を増やす働きがあると考えられている。
酵母と乳酸菌と玄米のそれぞれが持つ、素晴らしい有用成分を抽出し、それを食品化することで、玄米食以上の効果が得られることを期待した。 この食品を常食することで、生活習慣病の予防や改善、不老効果などを獲得できるものと信じている。
(6)玄酥(げんそ)の誕生
こうした事情を背景に、私は玄米を乳酸菌と酵母で発酵させ、その有用成分を抽出する技術開発にのめり込み、3年以上の歳月をかけ「玄酥(げんそ)」が誕生したのでした。
















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